自分の無力さに・・・(男泣き)

 看護師2~3年目ぐらいの時に始めて彼と会話しました。

私と同年代の彼はある悪性腫瘍になり、化学療法や手術で入退院を繰り返していました。

最初は、担当するチームが違ったのであまり話したりもしませんでしたが、入退院を繰り返すにつれて話す機会が多くなり、担当でない日でも廊下や病室で会話をすることが増えました。

しかし、徐々に病状は悪化し、肺転移なども手が付けられなくなってしまったため、がん性疼痛や呼吸苦など出現していきました。

もちろん、緩和ケアチームが担当してくれていましたが、ラウンドに11回くるのがやっとです。それ以外は私たちが、対応していくのですが、当時は経験もなく知識もほとんどありませんでした。

ただ、話を聞いたり、そばにいたり。

 


 亡くなる数週間前だったと思いますが、消灯のため部屋に行くと『暗闇が怖い消さないでほしい』と虚ろな表情で話してきました。

その数日後にお母さまから彼が、

『眠るのが怖い。眠ったらそのまま死んでしまうのではないか』

と言っていると聞きました。

私は、夜勤中は患者の部屋で記録などをしながらそばにいて、ナースコールが鳴るとPHS応答し、ケアのために一旦部屋を離れますが、

そのあとはまた、患者の部屋に戻ってきて、できる限りひとりで寂しい想いをしないように、そして目が覚めたときに一人じゃない生きているんだと実感できるようにしていました。

あの時、わたしにできる最大限のことがそれだけだったのです。

 患者が亡くなったのは、私が夜勤のときでした。

最後は、母親に見守られながら眠るように亡くなり、心電図のアラームだけが静かな病棟に響いていました。

 涙がこらえられず、泣きながら母親と共に死後処置を行ったことは今でも鮮明に覚えています。

 


 後日、普段はそんなことしないのですが、家族に連絡をとり、家まで線香をあげに行きました。

 その時、母親から『中谷さんが夜勤の時は安心して寝れる』って言ってましたと聞いて、ほっとした反面もっとなにかできたのではないかという衝動にもかられました。

 それから、緩和ケアやがん性疼痛についての勉強を始め、緩和ケアチームにも入れてもらい、ラウンドする側にまわったと同時に、病棟での緩和ケアの質の向上のため勉強会をしたり、自ら率先して看護展開していったりと活動を広めていきました。


 私は、彼と一緒に過ごす時間が長かったのと、同年代ということもあり、感情移入をしていたのだと思います。だから、自然と夜間付き添ったりすることができたのだと思います。

 でも、このことから、わかったことがあります。

 魂や心(どうなって欲しいかどうしたいのかという想い)がなければ、看護ケアはうわべだけのものになってしまうということ。

 本当に質の高いケアを実践していきたければ、心を動かしていかなければいけない職業なのだということ。

 よく看護の世界では、『患者に成長させられる』と言いますが、身を持って実感しました。

 でも、全患者に感情移入するって難しいので、私はよく『自分の家族だったら、自分の大切な人だったらどう対応してほしいか、どう対応するか』と考えながら仕事をしています。そうすると、自然と心が動いていく気がしています。

 この時期に、こんな経験ができたことは自分の財産だと私は思ってます。こういう経験こそが、私を成長させているのだと、改めて感じています。

 だからこそ、他の人の心を動かせることが私にとって、とっても魅力的なスキルなんです。そのスキルを、今必死に磨いてます!

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自分の無力さに・・・(男泣き)” に対して1件のコメントがあります。

  1. 松田考代 より:

    看護って患者さんの生死と向き合う壮絶なお仕事だと思います。
    崇ちゃんはそんな壮絶なお仕事してるんだよね。
    入院病棟の独特な雰囲気。生と死が隣合わせの空気感。
    夜間は特にそれを感じました。
    三男の入院で1年間付添いした時に嫌という位、亡くなってゆく隣接する病棟のお子さん達とその親御さん達をみました。
    側で感じるだけでも辛かったけれど、崇ちゃんはそこでお仕事している。頭が下がります。
    久しぶりにあの頃の事を思い出しました。
    たくさんの感謝を改めて思いながら。

    1. takato.decemberboy@gmail.com より:

      崇ちゃんって幼馴染の母親か!?(笑)
      貴重な経験のできる職業だと思うよ!
      心がすり減っちゃいそうな時もあるけど、だからこそ強くなれる!
      考ちゃんも貴重な経験したんだね!シェアしてくれてありがとう💓

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